CATツールについて

皆さんの中で、過去に類似した文書を翻訳しているにも関わらず、新たに1から翻訳している方はいませんか?せっかく完成した訳文を、その文書だけに使用するのはもったいない。未来の翻訳に活用しましょう。
CATツールを使えば、必要な箇所だけ、最小限のコストで翻訳を依頼できるかもしれません。今回はCATツールの説明とともに、活用するメリットや注意点を簡単にご説明いたします。

(1) CATツールとは

コンピュータ支援翻訳(Computer Assisted Translation)の頭文字をとって、「CAT」ツールと呼ばれています。
機械翻訳や自動翻訳と混同されることもありますが、CATツールは翻訳者が行う作業の効率を上げ、さらに訳文の品質を高めるための補助的な役割であり、実際に翻訳を行うのは人間です。
各社さまざまな製品が販売されていますが、弊社では最も代表的なツールのひとつである「Trados」を採用しています。

(2) 翻訳メモリ

翻訳を重ねていく中で、どの文書を翻訳したか、どれとどれが類似しているのか、人間では把握しきれないことを、CATツールが管理してくれます。その管理に役立つのが「翻訳メモリ」。
簡単に言えば、原文と訳文を対訳の状態で記録したデータを指します。
新たに翻訳する文書に対して、これまでに蓄積してきた「翻訳メモリ」を参照させることで、どれだけの重複が存在しているか、機械的に分析してくれます。
分析結果には%単位で一致率が表示されるため、微細な違いも見逃しません。
再利用できる割合に応じて、コストの削減も見込めます。
「翻訳メモリ」=「翻訳資産」と言われるのも納得です。

ちなみに、CATツール上で翻訳した場合には、自然に翻訳メモリの形式として保存されますが、過去にCATツールを使用せず翻訳した場合でも、過去の原文と訳文を対訳形式に整理することで翻訳メモリへのコンバートが可能です。
「これ、使えるかも」と思う過去訳があれば、ぜひご相談ください。

(3) 品質の保証、表現の統一

「翻訳メモリ」を活用するメリットは、コストダウンだけではありません。
これまでに蓄積してきた訳文は、当然しっかりとしたチェックを経て“完成”している訳文です。その訳文を再利用することで、品質を保証し、表現や用語の統一が図れます。
訳文は翻訳者によって十人十色、翻訳を行う度にバラバラな表現を避けたい場合にも、CATツールの利用がおすすめです。

(4) 注意点

これまでCATツールを使用した際のメリットを述べてきましたが、気を付けなければいけないことも多々あります。
例えばPDFファイルを原稿とする場合、テキストを抽出した際に意図していない箇所に改行が入っていることがあります。
改行で区切られてしまえば、見た目は同じテキストだったとしても、データ上は違うものである、とCATツールは機械的に判断します。
本来は重複とすべき箇所が新規箇所となり無駄が発生するだけでなく、表記ゆれを引き起こす危険性があります。
CATツールで原稿を分析する前に、事前の準備が必要となります。
原稿の状態や訳文を作成するアプリケーションなど、さまざまな条件を考慮した上で、CATツールをどのように活用すべきか検討することが重要です。
CATツールの使用で不安があれば、翻訳会社パラジャパンにぜひご相談ください。
CATツールの仕様や仕組みをしっかりと理解したコーディネータが、お客様のご希望に応じてご案内させていただきます。

CATツールの概要は以上となりますが、日々進化する新たなテクノロジーを使いこなし、効率的に無駄のない翻訳サービスをお客様に提供してまいります。